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政治

民主党「昭和四十年代」議員の実力

層は厚いが線は細いのばかり

2010年7月号

「一〇%を大きな参考にしたい」
 六月十七日午後五時から開かれた首相記者会見。一見、思いつきのようにも見えた菅直人の「消費税率一〇%」引き上げ発言に、大きくうなずいた男がいた。官房副長官に抜擢された旧大蔵省出身の古川元久である。古川は一九六五年生まれの四十四歳ながら、衆院当選五回を数える。国土交通相、前原誠司グループに属してはいるが、いまや菅のなくてはならない側近の一人だ。
 消費税問題を参院選の争点にしようと画策したキーマンは、古川だ。参院選で自民党と公明党は、前幹事長・小沢一郎や前首相・鳩山由紀夫をはじめとする「政治とカネ」、共産党や野党に転じた社民党は普天間問題を中心に攻め立てるのは必至だった。いずれも民主党が守勢に回るのは明らかで、これらをかわすにはどうすればいいのか。古川は自民党が消費税率一〇%をマニフェストに明記するとの情報を記者会見の前日キャッチし、これを逆手にとることを思いついた。首相に提案する前に相談したのは官房長官の仙谷由人のみ。
 当の首相は、古川の提案に飛びついた。すでに古川らによって「財政規律派」に洗脳されていたのだ。結果は・・・