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経済

日本郵政「反民営化」の滅茶苦茶

猛威ふるう「札付き男」齋藤次郎

2010年7月号

「どこにそんな余力があるんだ。クレージーだ」。辞任した前郵政改革担当相亀井静香が選挙対策の目玉として、日本郵政社長の齋藤次郎(元大蔵事務次官)とつるんで打ち出した「非正規社員十万人の正社員化」計画に、過去七年にわたってカイゼンの風土を郵政社内に定着させようと汗を流してきたトヨタ出身の関係者は、人目を憚らずはき捨てた。
 日本郵政を三社に再統合する郵政改革法案は先の通常国会で時間切れ廃案となったが、民主党、国民新党の連立政権は参院選後の臨時国会で早期成立を期している。六月二十一日に開かれた株主総会では齋藤ら元官僚が取り仕切る現経営陣が再任されるなど、「民営化逆行」の流れは止まらない。日本郵政社内では齋藤体制の下で現場が緩みきり、事故も多発。コスト無視の行為が横行している。こうした荒廃を就任後わずか半年でもたらした齋藤の「罪状」は、評判の悪かった前社長西川善文のそれをすでに上回った。

郵政史上最悪の失策


 民営化の反動による郵政荒廃の中心地は、グループの長男坊格でありながら低収益にあえぐ郵・・・