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経済

NTTデータに落日の予兆くっきり

「親方日の丸」ビジネスの終焉

2010年7月号

 特許庁技官への贈賄容疑でNTTデータ部長が逮捕された事件は、六月二十三日付朝刊で各紙が一斉に報じた。これが同社の凋落ぶりを如実に物語るものというのが、IT関連業界共通の認識だ。
 売上高一兆円超を誇るITゼネコン大手のNTTデータ。彼らにとって、金融と官公庁のシステムは売り上げの七割を占める重要なソリューション事業だ。電電公社時代からの古きしがらみを武器に顧客を囲い込み、「何でもやります」型の商法でブラックボックス化されたITシステムを丸抱えし、法外な受注料をせしめてきた。
 しかし最近、こうした不明朗な関係に公然と反発する動きが得意先の金融界などに表れている。今回の贈賄事件も、これまで盤石を誇ってきた官公庁システム分野での綻びに焦った末に打った得意の現ナマ作戦が露見したものである。この一件で、顧客を散々食い物にしてきたNTTデータのビジネスは総崩れの様相を呈するだろう。

有力地銀の反発


 五月某日。ある地銀上位行のシステム担当者は、自行が加盟する全国地方銀行協会から送られ・・・