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経済

みずほに蔓延する「モラハラ」

「前三トップ」が遺した人心荒廃

2010年8月号

 わずかこの二年ほどの間に「将来の役員候補」との評価がもっぱらだった二人の大物支店長が、相次いでみずほ銀行(BK)から放逐された。いや正確には「元支店長」というべきか。東京・新宿新都心支店のM支店長と、大阪・梅田支店のK支店長―。いずれも有力企業を多数、取引先として抱える大支店。「東西を代表するみずほグループの旗艦店」(BK幹部)における最高責任者であり、最高実力者だった。それが、本部からの指令である日突然「人事部付」などの閑職に追いやられ、事実上の自宅待機となった末、ひそかに系列企業に“軟禁”されたのだ。
 処分の理由は、ほかでもない。パワーハラスメント―だ。部下に対する度が過ぎたいじめや嫌がらせ。それが長期にわたって繰り返され、精神的苦痛を訴える支店行員らが、本部に設置されているヘルプライン(通称「コンプライアンス・ホットライン」)に泣きついたのだ。
「人事畑出身のK支店長はとくに酷かった。支店長として来る前の証券業務部トップの時代から、理由もないのにやたら部下を怒鳴りつけるなど噂には聞いていたが、一国一城の主となり、本部による監視・・・