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政治

マスコミ「世論調査」の大罪

目に余る政治家との「共犯関係」

2010年8月号

「それでも私はやると断言できる人、そのような人だけが政治への『天職』を備えている」と言ったのは近代社会学の祖マックス・ヴェーバーだが、今、日本の政治家は「世論調査」という魔物に振り回されている。とりわけ鳩山由紀夫前政権が普天間問題で行き詰まって以降、新聞・テレビは毎週のように調査結果を公表し、時の政権関係者を一喜一憂させている。
 仙谷由人官房長官は大敗した参院選の翌日に出演したNHKの番組で、「報道各社が刻々と世論調査をすることに政治家がどうしても過剰に反応してしまう。そういう政治でいいのか。大石内蔵助のように(動揺せずに)できたらいいが、許されないほどにスピードが速い」と不快感を口にした。さらに七月十三日の会見では「頻繁な支持率に一喜一憂しない。負けた時に支持率が下がるのは通例だ」とも強弁を張った。
 一見すると、参院選の敗北や菅直人政権失速の原因はメディアにもあると不満をぶつけた発言のようだが、真相はそんな単純ではない。野党時代、自民党政権の低支持率だけが意を強くするという環境に置かれた民主党は、「自民党以上に世論調査への依存心が強い」(大手紙の政治部デ・・・