日本の「防疫体制」は丸裸
口蹄疫で露呈した「ウイルス天国」
2010年8月号
鳩山政権が高々とうたい上げた「東アジア共同体」。何も実現しないまま鳩山由紀夫前首相は政権を放り出したが、東アジアで共有されたものが一つだけある。中国、モンゴル、韓国、台湾、そして宮崎県で発生した口蹄疫だ。決して「ブラック・ジョーク」ではない。
日本は島国であることもあって、防疫の意識が極めて低い。しかし人の往来とモノの移動が活発になるのに伴い、口蹄疫に限らず感染症は地域全体で封じ込める必要が高まっている。、防疫は国益を守るための国家戦略そのものだ。「よらしむべし、知らしむべからず」という、時代遅れの官僚的発想では感染症の侵入を防げない。国民や地域を巻き込んだ新たな防疫対策を再構築しなければ、日本は海外に対して「バイオテロに弱い国だ」と認識され、安全保障面でも不安定要因になるだろう。
被害拡大招いた「前例踏襲主義」
七月二十七日に宮崎県が非常事態宣言を全面解除したことで、ようやく終結に向かう口蹄疫騒動だが、最大のポイントは、日本で初めて豚に感染したことだった。欧州でも豚への感染例は・・・