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政治

舞い上がったままの鳩山由紀夫

外交を「おもちゃ」に

2010年9月号

 いくら民主党の「創業者」でも、今の鳩山由紀夫・前総理大臣のふるまいは、この政権与党を私するものとしか見えず、同党に対する国内外の信頼を完全に失墜させてしまった。
 八月十九日、長野県軽井沢の鳩山の別荘で行われた鳩山グループの研修会は醜悪だった。前幹事長の小沢一郎や、小沢グループの議員多数が加わり、総勢約百六十人。その多くを、菅直人総理大臣に批判的な勢力が占めた。九月の党代表選のキャスチングボートを握り、再びスポットライトを浴びてご満悦の鳩山は、小沢とにこやかに視線を交わした。この会合がその後、小沢が世論の不支持を無視して代表選への立候補を決断する布石となった。
 自身の「政治とカネ」の問題で政治不信を招き、米軍普天間飛行場移設問題で米国や沖縄県との関係を滅茶苦茶にし、揚げ句の果て、総理大臣の座から降りざるを得なかった人物がキングメーカー然とした顔をテレビカメラの前に曝すことが、民主党に与えたマイナスイメージは計り知れない。
 別荘はその一カ月前、大韓航空機爆破事件の実行犯・金賢姫と拉致被害者の家族の対面場所としても使われた。その理由は、金の来日が鳩・・・