三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《罪深きはこの官僚》奥原正明(農林水産省消費・安全局長)

事故米事件「A級戦犯」が局長昇進の奇怪

2010年9月号

 省内でこの人が率いる体制を「ゲシュタポ」と呼ぶ職員がいる。各部署・各職員の動向を徹底的に把握、細かい指示を連発。省内で異様なくらい恐れられているのが、奥原正明だ。真面目で一所懸命という省内評もある。が、それは裏を返すと「融通が利かず周囲が見えない」ということでもある。
 二〇〇八年秋に突如発覚した「事故米事件」。カビが生えるなどして工業用に回すべき米が食用に転売されていた驚愕の事件だが、農水省は悪質業者のチェックを怠ったばかりか、事件発覚後の対応が後手後手になり混乱に拍車をかけたのは記憶に新しい。その事件処理を誤ったのが当時総合食料局・食糧部長として米の流通の総責任者だった奥原だ。
 事故米の不正転用の内部告発が事件発覚の一年以上前からあったにもかかわらず、農水省は調査を怠った結果大事件に発展。発覚後、慌てた食糧部長の奥原は真面目かつ一所懸命に地方農政事務所を「締め上げて」(農水省職員)調査に乗り出したが流通ルートの解明に手間取る。省内の混乱ぶりに政府は第三者による「有識者会議」を設置するが、会議に出席した奥原は組織擁護に走り、消費者団体関係者など居並ぶ出席者を唖・・・