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経済

ハブ港湾・空港政策の「ナンセンス」

役人と土建屋を潤すだけの「愚策」

2010年9月号

 知恵の枯れた官僚が考え出す出涸らし政策の多い日本でも、これほど馬鹿げた政策も珍しいだろう。「国際コンテナ戦略港湾」、いわゆる「ハイパー中枢港湾」の指定である。日本のどこかの港を指定し、港湾整備の予算をそこに集中投入し、多数のガントリークレーンを備えた大規模コンテナ・ターミナルや二十四時間荷役体制などを実現し、日本に海上物流のハブ港をつくろうという政策だ。
 応募した港の中から、八月初め阪神港と京浜港が選ばれた。前原誠司国土交通相が発表した指定港のニュースを聞いた人は、少なくともふたつの疑問を持ったはずだ。
 第一に、阪神港、京浜港という港がどこにあるのか。地図を探してもみつかるはずはない。存在しないからだ。「阪神港」は大阪港と神戸港、「京浜港」は東京港、川崎港、横浜港の総称にすぎない。要は阪神、京浜地域でひとつの港に絞ると、地元の不満が大きいため、複数の港を指定し、ネーミングで誤魔化したにすぎない。
 第二に、アジアのハブ港にしようとの意気込みとは裏腹に、なぜふたつも指定するのか。日本国内にハブがふたつあったら、どちらもハブになることはできない。役・・・