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経済

《企業研究》中国「ハイアール」

底知れぬ潜在力で日本に挑む

2011年1月号

 北京でも上海でも中国で家電量販店に入る機会があったらひとつ試してみるといいことがある。冷蔵庫売り場に行き、見開き扉の大型冷蔵庫のドアの上辺を右から左まで通して触ってみることだ。右扉と左扉の間で段差があるメーカーは扉の加工や取り付けの精度が低いことを意味し、製造業では二流以下といってよい。日本のパナソニックやシャープではまったく段差がなく、品質の高さを見事に示している。中国メーカー製の大半の冷蔵庫には多かれ少なかれ段差がある。その中で唯一、日本メーカーに匹敵する品質の中国企業がある。ハイアール(海爾集団)だ。
 海爾の知名度は最近五、六年の間に日本でも着実に上がってきている。東京・銀座四丁目の交差点からビルを見上げれば、否応なく「Haier」のネオンサインが目に付き、家電量販店の冷蔵庫、洗濯機売り場に行けば、目立ちはしないが「Haier」のロゴの入った商品がどこかに置かれている。世界水準の強豪家電メーカーが居並ぶ日本市場では、韓国のサムスン、LGすら苦戦してきたが、そこで店頭に商品を並べられる点に海爾というメーカーの底知れぬ潜在力がある。
 海爾とは一体、どん・・・