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社会・文化

成田に「ハーバード医学部」誘致構想

医療崩壊と成長戦略に「妙手」

2011年1月号

「成田市にハーバード大学医学部を招聘しよう」
 これは荒唐無稽な夢物語ではない。医師不足と医療の国際化、そして成長戦略の一つと位置付けられている「医療ツーリズム」、三つの課題を一挙に解決する妙手として具体策の検討が始まっている。
 ことの発端は、二〇一〇年六月、三十年ぶりに文部科学省が医学部新設を容認したことだ。近いうちに医学部新設検討委員会が立ち上がるという。
 新設候補地としては、埼玉や千葉の自治体が取りざたされている。この地域の医師不足が極めて深刻だからだ。厚生労働省やマスメディアは医師の都市偏在ばかりを問題視するが、より重大なのは東西格差だ。
 例えば、人口四百十万の四国には四つ、一千四百七十万の九州には十一の医学部がある。一方、人口六百二十万の千葉県には千葉大だけ、七百二十万の埼玉県には埼玉医大と防衛医大しかない。医学部数だけをみても、格差は歴然である。
 地域偏在と医師不足をまとめて解決する方法が、医学部新設だ。医学部を作れば、長期的には、地元に医師が増えることは、歴史的にも明らかだ。

アジアを目指す米国

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