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経済

中国国営石油に「退潮」の兆し

失敗の色濃い「資源戦略」

2012年5月号

 米国投資銀行のエネルギー専門家がいま、注目している数値がある。近年、我が世の春を謳歌してきた中国石油天然気集団(CNPC)をはじめとした中国国営石油企業の純利益だ。原油価格の高値推移にもかかわらず、一千億元(約一兆円)程度で低迷が続いている。  かつて、CNPCの優良資産を分離して、二〇〇〇年に上場した中国石油天然気(ペトロチャイナ)が、米国の投資家ウォーレン・バフェット氏の投資も受け、株式時価総額世界第一位となり、欧米国際石油資本(メジャー)の心胆を寒からしめた。その栄華も、エクソンモービルに株式時価総額で抜き返され、今は霞んでいる。これまで国際資源市場で猛威を振るっていた中国国営石油企業の退潮は資源市場の「異変」にほかならない。

独自の資源外交に「破綻」の兆し

 CNPC、中国石油化工(SINOPEC)、中国海洋石油(CNOOC)は、中国政府の石油部門を前身として成長を遂げてきた中国版石油メジャーだ。中国政府のエネルギー政策の先兵として、世界最大の外貨準備高を背景に欧米メジャーが政治・人権問題を理由に参入できない独裁国家の資源開発に邁・・・