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政治

泥船政権を「丸抱え」した財務省

それでも税制改革は「前途多難」

2011年2月号

 一月十四日に発足した菅第二次改造内閣は、絵に描いたような財務省主導の官僚管理内閣となった。自民党時代から財務省シンパだった与謝野馨を経済財政担当相に一本釣りし、与謝野の東大野球部の先輩であり、大蔵省OB、蔵相経験もある藤井裕久を官房副長官に起用した。それだけではない。改造から一週間経った二十一日、各省庁の事務次官を首相官邸に集めた菅直人は、こう訓示した。
「えー、やはり省庁間の調整は、大臣、副大臣の政治家ルートと並行して各省庁の事務次官なり、局長なりそれぞれのレベルでの調整が必要だと思う」
 一昨年夏の政権交代で、各省庁の調整と翌日に閣議決定する法案の最終確認をする場であった事務次官会議を「官僚政治の象徴的存在であり、政治主導の障害だ」と糾弾し、廃止した民主党が、霞が関に白旗をあげた瞬間だった。大臣、副大臣、政務官の「政務三役」で政策を立案し、法案を国会に提出しようという政治主導の理想は、わずか一年半足らずで瓦解した。官僚たちがソッポを向く中、専門知識の乏しい少人数の政治家だけで、国の行政機構をスムーズに動かすこと自体が無理だったのだ。そのことを痛感した首相・・・