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政治

《罪深きはこの官僚》齋藤晴美(農林水産省農村振興局次長)

権益保持のため諫早開門に駄々こねる

2011年2月号

 菅首相が初めて政治主導を実行したとされる諫早湾干拓訴訟の「上告断念」。この政治決断で、高裁判決の「常時開門」が実現する可能性が高まったが、この間、事業主体である農水省農村振興局(旧構造改善局)の組織をあげた抵抗を指揮し、原告弁護団らから批判を浴びているのが、農村振興局の齋藤晴美次長だ。
「原告弁護団」の前に齋藤次長が初めて顔を出したのは、一審判決の直後。農水省の控訴の方針に対し、原告弁護団は二週間の控訴期限まで農水省や国会周辺で阻止行動を展開。それまでの交渉相手は農地整備課施設管理室長だったが、「若林正俊農水大臣(当時)と直談判をさせろ」「上司を出せ」と要求し、ようやく齋藤次長(当時は整備部長)が出てきた。だが、漁業者が口にした「有明海異変」という言葉の意味を解せず、隣の室長に小声で「有明海異変って何だ?」と尋ねる始末。その不遜な対応ぶりが、原告の怒りを買った。
 結局、農水省の控訴方針は変わらず、齋藤次長は「高裁判決までの二年半を浪費し、有明海再生を遅らせた張本人だ」(市民団体幹部)との批判を一身に集めている。
 京都大学農学部を一九七六年に卒業した技・・・