三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

政治

《 政界スキャン》

中国を理解するために

2011年3月号

 


 隣の中国は「厄介な大国」というのが日本人の共通認識になっている。昨年九月、尖閣諸島沖で突発した中国漁船の体当たり事件は、菅政権による対中外交の拙劣さをみせつけただけでなく、中国側の大国主義的な強圧外交に辟易し、不快感を深めることになった。
 菅直人首相は年初、初の施政方針演説(二〇一一・一・二四)で、
「中国の近代化の出発点となった辛亥革命から今年で一〇〇年になる。革命を主導した孫文には、彼を支える多くの日本の友人がいた。来年の日中国交正常化四〇周年を控え、両国の長い交流の歴史を振り返り、幅広い分野での協力によって戦略的互恵関係を充実させることが重要だ。同時に、中国には、国際社会の責任ある一員として建設的な役割を果たすよう求める」
 などと対中関係を長目に述べた。昨年、首相就任直後の所信表明(一〇・六・一一)では、
「中国とは戦略的互恵関係を深める」
 と素っ気なく一行だけだったから、十一倍の分量である。「尖閣」の失態が大きく響いている。対中重視を強調する一方、注文もつけざるをえなかった。・・・