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政治

「政治主導」に引導渡した霞が関

震災を「奇貨」として

2011年5月号

 震災と、原発事故の対応で「メルトダウン」したとまで評される官邸を横目に、霞が関の官僚が蠢いている。そしてこの国は、内容を伴わぬ「政治主導」から、再び「官僚主導」へ舵を切りつつある。
 その象徴は、三月二十二日に設置された「被災者生活支援各府省連絡会議」だろう。当初一日おきに開催された連絡会議の出席者は各府省の事務次官だ。これは、民主党政権発足直後に廃止された「事務次官会議」の復活にほかならない。首相の菅直人は政権交代後に出版した著書『大臣 増補版』のなかで、「官僚主権国家の象徴とも言うべき事務次官会議は、国民主権の国にするためには絶対に廃止しなければならなかった」と記している。つまり、菅は事実上の敗北を喫したのだ。
「かつての事務次官会議とはまったく性質の異なるもの。今回は対策本部の指示徹底を求める場だ」
 官房長官の枝野幸男は、連絡会議の趣旨をこう説明した。
 しかし、府省間調整が必要とされる場でも官邸の指示は出ず、官僚が独自に判断して動くケースは、いまや永田町・霞が関の日常風景となった。

議員の「圧力」が効かない

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