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政治

石破「曲芸続投」の粘り腰

退陣要求が成就しない裏事情

2025年8月号

 長い年月の研究で最善とされる定石が、今の永田町では使えなくなっている。定形の19路盤とは違う衆議院での少数与党という異形の碁盤での対局だからだ。7月20日投開票の参議院議員選挙での自由民主党の大敗後、同党総裁の総理大臣・石破茂の進退に関する意見や報道は錯綜し、定石を踏めない局面で各党は「次の一手」も、それを越えた大局感も見失っている。
 参議院選敗北でも続投宣言した3日後の7月23日、石破の表情は憤りでひきつっていた。
 日本に相互関税や自動車への追加関税を一方的に求め、8月1日の相互関税発動までの妥結に否定的な考えを示していた米国大統領のドナルド・トランプが7月22日(日本時間23日)に交渉妥結を発表した後の報道ぶりに対する怒りだった。
 参議院選での改選議席が自民、公明両党で目標の50に届かなかった石破が「続投」を明言した理屈は、トランプ政権との理不尽な関税交渉を「国難」と位置づけ、「政治空白は許されない」というものだ。それすら「国政選挙で示された民意の軽視」と大反発を招いたのだから、交渉妥結の発表で続投の大義名分は失われたかにも見えた。
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