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政治

《罪深きはこの官僚》加藤重治(文部科学省審議官)

文科省における「原子力村」の中心人物

2011年8月号

 福島第一原子力発電所事故が深刻な放射能汚染を周囲にもたらす中、最も影響を受けやすい子供の校庭での被ばく基準について、「内々で甘い基準を決めた」(民主党国会議員)として批判を集めているのが、文部科学省の加藤重治審議官(高等教育局担当)だ。
 四月三十日、「容認したら学者生命が終わりだ」と、福島県の小中学校屋外活動制限の基準を「年間被ばく量二十ミリシーベルト」とした文科省に抗議して、小佐古敏荘・東京大学大学院教授が内閣官房参与を辞任したのは記憶に新しい。この時、文科省は原子力安全委員会に対し、基準の妥当性について助言を求めていた。これに対し、安全委事務局を兼任していた加藤は議論の場をもつどころか、委員会の招集さえしなかった。
「原子力安全委として内容を確認して委員の合意形成はできていた」(加藤)というのが理由とするが、周囲からは「議事録が残るのを避け、内々に処理したかったのではないか」との疑念が出ている。
 被ばく基準の設定は、避難区域の広さを左右する。年間二十ミリシーベルトの基準がもし一ミリシーベルトになれば、東京電力の賠償金額は激増する。加藤は国民の健康・・・

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