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政治

《土着権力の研究》沖縄県 仲泊弘次・東開発会長

普天間移設で暗躍するフィクサー

2011年8月号

 昨年春に紛糾を極め、ついに一国の首相の首を飛ばすまでに発展した沖縄普天間飛行場移設問題。十五年前に橋本龍太郎政権が交わした日米合意に遡る一連の移設計画は、長年にわたる巨額の振興策を地元沖縄にもたらした。とくに、普天間代替施設の移転候補地となった辺野古地区を有する名護市では、「北部振興事業」というハコモノ建設などの工事が大規模に展開された。この北部振興事業で肥大化し、いまや中央政界や米国政府への突出した影響力を背景に、普天間移設問題を陰で操る存在にまでのし上がったのが「株式会社東開発」(沖縄県名護市)である。
 名護市で総合建設業を営む「東開発」は、生コン工場も持ち、石油や土砂の販売、不動産業なども手がけている。東開発会長の仲泊弘次氏は県建設業協会副会長や砂利採取事業協同組合理事を歴任、北隣の本部町には砂販売所も所有している。埋め立て工事が始まれば、確実に儲かる立場である。その隠然たる力は、現行案(V字型滑走路建設案)の決定過程において十分に見せつけた。

政府をも動かす「米軍との関係」


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