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連載

皇室の風36

皇祖神の謎
岩井克己

2011年8月号

 皇居の吹上御苑にある宮中三殿は一八八八年(明治二十一年)に建造された。銅板葺き、高床式、総檜の入り母屋造り。真ん中のひときわ大きな社殿が皇祖神をまつる賢所、向かって右に八百万の神をまつる神殿、左に歴代天皇・皇族の霊をまつる皇霊殿が並ぶ。この三殿に隣接して天皇が潔斎し祭服に着替える綾綺殿、新嘗祭を執り行う神嘉殿や、神楽舎、奏楽舎、参列者幄舎などの建物群が並ぶ。天皇の祭祀の場であり、内掌典(巫女)たちが住み込みで常時奉仕し、神聖な「忌火」を絶やさぬよう守っており、多くの宮内庁職員も入ったことのない聖域だ。
 ただ、皇族の結婚式などの機会に報道陣も見学を許される。敷地内に身を置くと大規模で荘厳な神社の趣だ。最近では二〇〇八年三月、三殿の耐震工事のため一時仮殿に移っていた神体を戻す「奉遷の儀」で取材が許された。「御羽車」と呼ばれる大きな神輿二台、小ぶりの駕籠三台を大勢の職員がかつぎ行列をつくって奉遷した。伊勢神宮の神体の「八咫鏡」のレプリカで皇祖神の霊代とされる神体鏡が二つあることが「発見」だった。「荒魂と和魂だ」との説や「南北朝時代に二つになった」など諸説あるらしい。
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