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WORLD

欧州経済は長期低迷へ

由々しい政治の機能不全

2011年10月号

 単一通貨ユーロの危機が続く欧州が、「失われた十年」に突入する見通しが強まっている。日本が一九九〇年以降に経験したのと同様の、低成長とデフレーションの複合危機によって今まさに、ユーロ圏は、政治・経済両面で長期の停滞に苦しむ瀬戸際に立たされている。  二〇一一年九月、欧州の政策担当者、金融機関は、ジェットコースターのようなスリルの連続を味わった。    まずは、ギリシャ二年物国債の利率が、初旬の四〇%台から十二日には七〇%へ急騰し、ギリシャの資金繰りが行き詰まった。同日、ドイツのフィリップ・レスラー副首相兼経済技術相(自由民主党)が、「ギリシャの秩序立った破産も考えるべき」と発言したのが伝えられ、アンゲラ・メルケル首相は激怒。「言葉が軽い」と公に副首相を叱責した。

米欧は経済・金融運営でバラバラ

パニックは、欧州全土の株式市場をも覆った。フランスのCAC40、ドイツのDAX30、スペインのIBEX35の各指数は、連日下落を続け、年初来高値から三〇%以上低くなった。ユーロ圏外の英FTSE100、スウェーデンの株式指数も約二割かそれ以上の下落と、影響は・・・