三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

社会・文化

築地移転で浮上した「データ改竄疑惑」

食の安全を揺るがすスキャンダル

2011年10月号

「『豊洲市場食品汚染事故』が起こり、今回の原発事故のように『想定外』の一言ですまされたら、私は死んでも死にきれない」   築地市場でマグロ仲卸店を六十年経営する野末誠氏はこう語る。 三月十一日の東日本大震災では、築地市場の移転予定地である豊洲で液状化が発生し、「噴砂」が百八カ所で確認された。この土地に東京ガスの都市ガス製造工場があり、土壌から環境基準の四万三千倍のベンゼンや九百三十倍のシアン化合物が検出されている。しかし都はこう開き直る。 「液状化対策をしていない埋め立て地では液状化は発生して当然」 石原慎太郎知事も、「先端技術を活用し、安全・安心の確保は十分可能」と豊洲移転に固執している。二〇一四年開場をめざし、来春には建設工事着工の予定だ。

「不透水層」は完全か

しかし、都が実施する土壌汚染対策について、重大な疑惑が浮上した。土壌浄化計画策定の根拠となったデータに「改竄」された疑いがあることに加え、都はその証拠である土壌サンプルを廃棄し「隠滅」を図ろうとしているのだ。   都の計画では、地下数メートルにある「不透・・・