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社会・文化

「東京湾津波」の悪夢

液状化加わり倒れる湾岸ビル

2011年10月号

 地盤工学や津波の専門家が、想像すらしたことのない光景だった。  三月十一日の震災発生直後の宮城県女川町。鉄筋コンクリート造りのビルが横倒しとなり、がれきの中に無残な基礎部分を晒していた。同様の被害を受けたビルは合計六棟。三階建ての「女川共同ビル」は真っ二つに割れ、一方は上下逆さまに転倒、もう一方はそこから約百五十メートルも西に流される形で横転していた。    基本的に鉄筋のビルについては、地震で建物の躯体が破壊されることはない。ましてや建物が横倒しになることなどあり得ない。これが従来までの常識だった。ただし、本誌七月号で指摘したように、旧耐震基準の建物は、震度五強以上で倒壊する危険性がある。

押し寄せる「巨大浮遊物」

 現在、津波に関しては、「高いビルへの避難」を強化する動きがある。しかし、避難先とされるビルは本当に「安全」なのか。    近い将来、必ず発生するであろう東海、東南海、南海地震では、東京、名古屋、大阪の三大都市圏に、それこそ想定外の大津波が押し寄せるとされている。    東京都は来春に向けて津波ハザードマップを作製中だ。これ・・・