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経済

《クローズ・アップ》眞部利應(九州電力社長)

経済界に禍根残す「居座り」

2011年11月号

 九州を代表する企業にしてはあまりにお粗末なドタバタ劇だ。九州電力の玄海原子力発電所(佐賀県玄海町)の再稼働をめぐって、六月に開かれた国主催の県民向け説明会を舞台にした「やらせメール」問題だ。

 説明会に再稼働賛成の意見をメールで送るよう指示した九電の原子力発電本部の幹部、社員の発想、行動のレベルの低さは言うまでもない。やらせが発覚すると、慌てて調査のための第三者委員会を設置したものの、出てきた報告書が九電の意に沿わないとなると、自ら指名した委員会を無視。さらに眞部利應社長、松尾新吾会長の責任を問う声が強まっても、どこ吹く風で世間や経済産業大臣の批判も無視し続ける。

 長年、国民が感じていた傲慢で、唯我独尊の電力会社像そのものの行動様式だ。「公益企業」という単語は政府出資の企業が民営化され、規制緩和も進むなかで、死語になりつつある。だが、九電や東京電力など全国十社の電力会社は一般家庭用や小口ユーザーへの電力供給で今もなお独占を認められている。それゆえに十二分な公益性がある。

 原子力発電所の立地では電源三法による交付金な・・・