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WORLD

欧州危機に巻き込まれる日本

金融安定化基金という「罠」

2011年12月号

欧州危機の火消し役と言われる「欧州金融安定化基金」。本誌は前号でその胡散臭さを詳報したが、奇特にも資金拠出に積極的な国が現れた。日本だ。各国がその本性を既に見抜いた中、日本は愚かにも欧州危機の泥沼に、自ら嵌まっていこうとしている。

「EUを適度に分裂させること」

 欧州連合(EU)主要機関の集まるベルギーの首都ブリュッセル南郊。二〇〇九年十一月のある晩、高級住宅地の瀟洒な邸宅にベルギー王室・首脳用のAのナンバープレートをつけたベンツが到着し、これを追うようにCDナンバー(外交官用)の米国高級車が吸い込まれていった。この邸宅で行われた晩餐会こそが世界中のマスコミを巻き込みエスカレートの一途を辿った欧州債務危機騒動の伏線となる極秘会談だった。  いま初めて明かすこの秘密の食卓には駐ベルギー米大使、ベルギー首相(当時)のヘルマン・ファン・ロンパウ、彼らの主席顧問官など数人、それに招待主の夫妻―これだけである。ファン・ロンパウはその翌週の十一月十九日、ブリュッセルで開かれるEU非公式首脳会議でEU初代大統領に決定する。だが舞台裏では十一月初めにはすべてが決まって・・・