三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

中国経済「大幅減速」は不可避

地方財政に迫る「破綻危機」

2012年1月号

 二〇一二年の経済運営方針を決める中国共産党の「中央経済工作会議」が十二月十二日から三日間、北京で開催された。通常は十二月の第一週に開かれるが、一一年は中旬にずれ込んだ。理由はほかでもない。経済工作会議の前に開かれた党中央政治局会議がもめたからだ。そのあおりで、十二月十三日で調整していた野田佳彦首相の訪中が月末に延期された。中国側から日本外務省に「内政上の理由」という旨が伝えられた。十三日が南京事件七十四周年の記念日だからではないかとの推測が日本では流れたが、中国筋は「南京は関係ない」と否定している。いま中国指導部の頭の中は「風険(リスク)」の二文字でいっぱいなのだ。  欧州経済危機が中国に飛び火するのが早いか、中国国内の自前の金融危機が爆発するのが早いか、目の前で時限爆弾の導火線が刻一刻と短くなっていく。にもかかわらず、胡錦濤総書記(国家主席)が率いる共産党執行部は今年秋に退陣する。後継総書記となる習近平国家副主席は経済に疎い。温家宝首相の後継と目されている共産主義青年団(共青団)派の李克強副首相も経済運営の経験が浅い。そのうえ江沢民前国家主席が太子党派の王岐山副首相を次期首相・・・