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政治

動きだした「六月解散・政界再編」

野田「延命」の唯一のシナリオ

2012年1月号

「事務屋に毛の生えた程度の政治家だね」  九十三歳にしてなお政治に厳しい注文を付ける元首相中曽根康弘。その中曽根が首相野田佳彦を酷評した。  野田は首相就任から一カ月余たった十月中旬、中曽根に教えを請うたことがある。この時の中曽根の指南は極めて好意的だった。 「あなたは首相に向いている。低姿勢でまじめに取り組めば長期政権になる」  だが中曽根の眼力も問われるほど就任からわずか四カ月で野田の限界が浮かび上がる。「長期政権」は夢のまた夢。「なぜ野田はだめなのか」。中曽根の分析は辛辣だ。 「燃え上がるような政治的情念が感じられない」  たしかに九月二日に首相に就任して以来、野田が指導力を発揮してがむしゃらに政策に邁進したという印象はほとんどない。ならば守りに強いのかというと、これもまた及第点に遠く及ばない。

危機管理能力に大きな疑問符

 3・11東日本大震災で前首相菅直人の危機管理能力が問われたのは記憶に新しいが、野田もまた危機管理能力に大きな疑問符が付いた。  十二月十九日正午。北朝鮮の指導者金正日の急死が発表された。北朝・・・