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連載

西風 372

橋下VS関電・関経連
八木亜夫

2012年5月号

「こんな再稼働は絶対許しちゃいけない。ストップかけるんだったら国民が民主党政権を倒すしかない。次の選挙の時に政権を代わってもらわなきゃいけない」

 四月十三日夜、野田政権が関西電力大飯原子力発電所3、4号機の再稼働が妥当と判断したのを受け、関電の筆頭株主である大阪市の橋下徹市長は、いつにも増して怒りのボルテージを上げ、記者団に「倒閣宣言」までやってのけた。

 国政進出を目指す大阪維新の会の代表も務める橋下氏は、再稼働を認める前提として独自の八条件を掲げている。しかし、大阪市に再稼働の許認可権があるはずもなく、八条件に法的根拠はない。仮に「原発から百キロ圏内の府県との安全協定締結」を政府が認めたなら、全国の原発が永遠に再稼働できなくなる。

 橋下氏も無茶な条件と分かりながら、「これは政治的メッセージだ」と強弁する。再稼働ありきで手続きを進める野田政権をあぶり出すことで、次期衆院選の争点にしようというのが真の狙いだ。

 そもそも、橋下氏の「脱原発」路線は、東日本大震災で被災した福島第一原発事故に端を発し・・・