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WORLD

東南アジアが空前の資産バブル

通貨危機の懸念再び

2012年6月号

「ASEAN(東南アジア諸国連合)のオープンスカイ政策が発効するまでに、(インドネシアの)マンダラ航空は、域内競争に勝つ準備をしなければいけない」  こう息巻くのは、同国の航空大臣ではない。インドネシア金融界で耳目を集めるサンディアガ・ウノ氏(四十三歳)。プライベートエクイティ(PE)大手サラトガ・キャピタルを率いて大型買収を重ね、現地メディアを賑わせている人物だ。昨年、シンガポール格安航空会社(LCC)大手タイガーエアと同氏が共同でマンダラ航空を買収、経営を再建、この四月に運航を再開させたばかりだ。現地資本のPEを率いて派手に買収を繰り返す若き経営者の姿は、「経済統合を強めて成長するASEAN経済」のダイナミズムを象徴するような存在でもある。 「再編に次ぐ再編」で「経済の一体化」を強め、勢いに乗る東南アジア。だが一方で、「通貨危機」の過去を忘れた今、資産バブルの兆しが不気味に頭をもたげ始めている。

明らかに「異常」な株価の動き

「フィリピン航空はより良いサービスを提供、新しい機体を飛ばすだろう。一年で黒字化してみせる」  フィ・・・