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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》慶應大学医学部

「醜聞続出」の堕ちた私学の雄

2015年2月号

 私立大学医学部の最高峰として誰しも認めるのが、慶應義塾大学医学部だろう。押しも押されもしない名門、慶應医学部が今、揺れている。東京・信濃町の慶應病院に勤務する中堅職員が打ち明ける。

「ここ二十年で医師の能力はもちろん、モラルが徐々に低下してきたと実感する。特に現医学部長下で教授陣の劣化が加速している」

 外部からは窺い知ることのできぬ病理が慶應医学部を蝕み、名門が創立以来の危機に瀕している。

 発端はインターネット上でのある告発だった。昨年末「匿名A」を名乗る人物が、東京大学、京都大学、大阪大学など国内トップレベルの大学研究者の論文約八十本について、データの改竄や捏造があると指摘した。全国紙もこれを報じ、一月十三日には下村博文文部科学大臣が各大学に調査を求め、不正が確認された場合は処分する方針を示した。

 驚いたことに俎上にのせられた中には病理学が専門の岡田保典教授という慶應大学の研究者も含まれていたのである。論文内で使用された画像に、改竄・捏造の疑いが浮上しており、慶應はただちに調査委員会を立ち・・・