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経済

鉄鋼各社が弄ぶ「焼却炉利権」

ガレキ処理予算1兆円の奪い合い

2012年6月号

 東日本大震災から一年以上が経過した五月十七日、被災地のガレキ処理に関する緊急集会が参院議員会館で開かれた。講師は、ゴミ問題の専門家で被災地の現地調査を続けている環境総合研究所顧問の青山貞一氏(元東京都市大学教授)。約百人の国会議員や地方議員らを前に青山氏は、ガレキ処理をする焼却施設の一覧表を映し出した上で、「今回のガレキ処理には間違いなく焼却炉利権がある」と言い切った。 「宮城県から岩手県の三陸海岸にかけて、二十七基もの仮設の焼却施設を建設し、ガレキ処理を進めようとしていますが、一基当たり数十億円から数百億円もかかる。それに加えて政府は、全国各地での広域処理も補助金・交付金をエサにゴリ押ししている。明らかな二重投資で税金の無駄です」  環境省の試算によると、東日本大震災で生じた災害廃棄物の処理事業費、いわゆるガレキ処理費用は地方負担分も含めると、実に約一兆五百億円に上るという。処理単価は一トン当たり約六万円という計算で、これは阪神・淡路大震災の時の三倍、新潟中越地震の二倍にも及ぶ額だ。しかも昨年の段階から「海に流れ出たガレキを無視している」「ガレキ量を水増ししている」とい・・・