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連載

続・不養生のすすめ19

矛盾だらけの高齢者健診
柴田 博

2012年7月号

 私事で恐縮であるが、筆者は、この七月六日に後期高齢者の仲間入りをする。筆者は医者であり、大学では高齢者の保健や医療を講義もしているので、一般市民より後期高齢者の問題を理解しているつもりでいた。しかし現実に直面してみて、自分は意外に無知であることを思い知らされた。

 まず、医療を受けるための健康保険であるが、これが私学共済から後期高齢者医療制度のもとに否応なく変更させられる。もちろん、このことは承知していた。現役で大学の教員を続けていても、私学共済の健康保険を選択できないのは知っていた。しかし、後期高齢者医療制度の健康保険の月々の掛け金が、私学共済のそれの二倍以上になることを不覚にも知らなかった。おまけに、後期高齢者医療制度には被扶養者のしくみはない。したがって、連れ合いは、また別個に国民健康保険に加入しなければならず、家の月々の掛け金の総額は、これまでの三倍にもなる計算である。

 筆者は、大学の常勤教授であるが、勤務日数が多少少ないこともあり、平均よりはやや少ない給料をいただいている。それでも、年金は四分の三くらい支給停止となっている。しか・・・