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政治

野田真っ青の「安倍再登板」

ひとりほくそ笑む橋下徹

2012年10月号

 奇妙で不可解な自民党総裁選は後味の悪い結末を迎えた。元首相安倍晋三が総裁の座を手繰り寄せたからである。自民党が結党されてから総理・総裁経験者が返り咲いた例はない。安倍はその高い壁を乗り越えた最初の政治家となった。本来なら万雷の拍手が沸いてもおかしくはなかった。  しかし、総裁選が行われた九月二十六日の自民党本部は戸惑いと不安が交錯した。その不安は直ちに現実のものとなって自民党に跳ね返ってきた。 「党員の声を無視するのか」  安倍が選出された直後から党本部に抗議の電話が殺到したのである。党員投票で安倍は前政調会長石破茂に大きく水を開けられて第二位。票数にして石破の百六十五票の約二分の一の八十七票。議員投票でも第一回は幹事長石原伸晃に四票及ばず五十四票。つまり第一回投票では党員票も議員票も第二位の安倍が決選投票で辛うじて勝利を収めたのである。  従来の総裁選なら決選投票を辞退するのが王道だったが、五年前に病気を理由に突然政権を放り出した安倍に「辞退」の二文字はなかった。「投げ出し政治家」の烙印が押される。かといって敗北は政治生命を絶たれることを意味する。となれば何が何・・・