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経済

迫り来る地銀大再編の足音

野村の足利銀行売却が「号砲」に

2012年11月号

 地方銀行の経営者と金融庁幹部が一堂に会して意見交換する「月次会合」があることはあまり知られていない。金融庁幹部が行政方針を説明し、それに対して経営者たちが意見を述べるという懇談形式だが、今年度に入ってからは毎回、「懇談」という表現とは裏腹な「ピリピリした張り詰めたムード」(中堅地銀トップ)が強まっているという。その原因とされるのはほかでもない。「中小企業金融円滑化法」の終了だ。

金融庁の思惑映す幹部人事

 亀井静香・金融担当大臣(当時)の提唱で導入された同法。経営悪化した中小企業に対する金融支援措置であり、既存の借入金の返済条件などによって、中小企業が背負った金融面の重荷を軽減させる効果があったことは間違いない。  だが、見方を変えると、「経営悪化企業への延命措置」であり、同法施行から現在に至るまで中小企業の経営環境が悪化し続けていることを踏まえると、経営破綻へと向かうマグマを蓄積させてきたのも事実。支援措置の終了をめぐって地銀各行の緊張感が強まっているのも、そこに理由がある。ある地銀の幹部はこう説明する。 「地方経済の冷え込みは一・・・