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経済

金融界が手を染める「官製飛ばし」

中小企業再生を名目に不良債権処理

2012年12月号

 バブル崩壊後、「RCC送り」という言葉が、中小企業経営者らのあいだで、怨嗟を込めて流行した。銀行から「不良債権」のレッテルを貼られた中小企業の借金(銀行から見れば貸出債権)が、国策借金取り立て会社・整理回収機構に譲渡されて身ぐるみはがされ、多くが倒産に至ったからだ。  来年三月末の中小企業金融円滑化法の期限切れの後は、それに代わって、「ファンド送り」という言葉がささやかれることになりそうだ。放り込まれた中小企業の受難は同じだが、RCCと違うのは、そのファンドが銀行のひも付きで、金融庁公認の「官製飛ばし」になりかねない、ということだ。

膨大な「隠れ不良債権」に備え

 リーマンショックの最中、亀井静香金融担当大臣(当時)の肝いりで作られた中小企業金融円滑化法は、借り手中小企業から申し込まれた返済条件の変更(いわゆるリスケ)にできるだけ応じる「努力義務」を金融機関に課した。努力義務とはいうものの、金融庁への報告を義務づけ、金融検査でも厳しくチェックしたから、銀行は条件変更の申し出をほとんど断れなくなっていた。  金融庁は十一月一日に「金融・・・