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連載

日本の科学アラカルト29

二酸化炭素を捕まえる「排出枠」達成のための研究

2013年1月号

 明けて二〇一三年。東日本大震災から三年目を迎えることになる。先の震災は、科学・技術の分野にも大きな課題を投げかけた。荒唐無稽な地震予知をでっち上げてきた研究者。原発マネーに寄生して、電力会社の都合のいい情報を出す原子力ムラの学者たち。被曝問題を考えれば後者はより深刻だろう。

 二〇一二年は、関西電力の二基が再稼働にこぎつけたが、後に続く目処は立っていない。その割にこの冬、政府も電力会社も「節電」と叫んでいない。反原発派が叫ぶような「電力会社が電力を隠していた」という陰謀論を除いて冷静に考えれば、火力発電がフル稼働していることは容易に想像がつく。

 ここで問題となるのは二酸化炭素の排出の問題だ。震災前はあれだけのメーンテーマであったにもかかわらず、原発事故と電力不足騒動後、温暖化問題は脇へ追いやられている。

 十二月五日に環境省が発表した二〇一一年度の温室効果ガスの排出量は十三億七百万トンに上った。これは前年比で三・九%の増加だ。京都議定書により日本は〇八年~一二年度までの五年間で一九九〇年比六%の排出削減が義務付けられ・・・