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政治

平成政治改革の「大掃除」が急務

待鳥聡史(京都大学教授)

2024年2月号

 ―自民党の「派閥とカネ」のゴタゴタをどう見ていますか。
 待鳥
 1990年代から始まった政治改革で残された問題が噴出したものだ。選挙制度改革や政党助成制度創設などを行ったが、特に政治資金については「抜け道」が残されてしまった。当時は、党を中央集権化して、政党同士が競争する状況を作ろうとした。かつての民主党による政権交代はそのひとつの成果ではあった。しかし、その後、野党は四分五裂し政党間の競争は著しく弱まった。今の自民党は中央集権化した上に、政権交代するかもしれないという緊張感もないという状況。そうした中で派閥に残された悪い部分が浮き彫りになったのが、今回のキックバック問題の本質だ。
 ―ふたたび大規模な政治改革が必要ですか。
 待鳥
 改革を行うにはエネルギーが不可欠だが、小泉純一郎政権時代までのような熱量はそう続かない。「改革疲れ」もあって、その後に制度の抜け道を塞ぎきれなかった。90年代は、大雑把に言えば「日本は経済はすばらしいが、政治家がダメ」という考えが広く共有されて、一連の政治改・・・

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