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経済

スズキのインド事業に暗雲

日本本社の「搾取」に現地が猛反発

2013年4月号

「インド国勲章受章の栄に浴し、身に余る光栄でございます。一九八三年の生産開始以来、マルチ・ウドヨグ社が発展を遂げることができたのも、インドの方々に日本的な経営方式を理解していただいた賜物と考えております」  二〇〇七年三月、スズキの鈴木修会長兼社長はインド国勲章の授与式で誇らしげにこう述べた。合弁相手であったインド政府との持ちつ持たれつの関係でインド事業を展開してきたスズキ。だが、この言葉とは裏腹に、ロイヤリティを通じて上場企業であるインド法人から「搾取」を続ける同社に対し市場は反発し、政府との蜜月関係にも今、暗雲が垂れ始めている。

他の多国籍企業と比較しても突出

「スズキのロイヤリティ支払い比率が、また上がった」「スズキには透明性が欠けている」――。  現地法人マルチ・スズキ・インディアと親会社スズキの関係性に対して、金融機関アナリストらが懸念の声を上げはじめたのは、三年ほど前からだ。マルチ・スズキの一〇年四~六月決算発表での「技術等のロイヤリティ支払いが前年同期比で二倍に増える一方で、二割減益」という内容は、市場関係者にとって・・・