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経済

三菱UFJがまた「高値拙み」

タイ銀「大型買収」に内外から疑問符

2013年8月号

「純利益四百五十三億円ほどの銀行に五千六百億円ものカネを投じるとは、いくら何でもちょっと高過ぎやしないか。一体、投資回収に何年かかるんだ」。グループ幹部の一人はこう危ぶむ。

 資産規模でタイ五位「アユタヤ銀行」の買収に踏み切る三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)。タイ中央銀行や同財務省の承認を得たうえで、今年十一月上旬から十二月にかけて株式公開買い付け(TOB)を実施。すでにTOBに応じる意向を打ち出しているアユタヤ銀の筆頭株主、米GEキャピタルから保有全株(持ち株比率二五・三三%)を買い取るのをはじめ、発行株の五一%以上を取得する。

 買い取り価格はアユタヤ銀の過去三カ月の平均株価に一五%のプレミアムを乗せた一株三十九バーツ(約百二十一円)。GEキャピタルとほぼ並ぶ発行株の二五%を持つ現地大株主で華系財閥のラタナラックグループは持ち分を維持する方針のため、MUFGの最大出資比率は七五%。買収金額は三千八百億~五千六百億円となる見込みだ。


モルスタの二の舞いを懸念する声
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