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経済

「好事魔多し」ソフトバンク

周波数問題で露見した「四面楚歌」

2013年9月号

「あいこ」にする約束でグーを出したのに、パーを出された―。  七月末のソフトバンクとKDDIによる周波数獲得競争。ソフトバンクの失態をたとえれば、こんなところだろう。総務省が募集した二・五GHz帯の周波数追加割り当てで、KDDI系のUQコミュニケーションズが二〇MHz幅を獲得することに決まった。KDDIが当初から二〇MHz幅を申請したのに対し、ソフトバンクは 「引き分け」を想定して一〇MHz幅しか申請しなかった。  孫正義社長は七月二十五日、総務省に抗議に訪れた帰りに記者を集め、「最初から結論が決まっている出来レースなのか」と的の外れた批判を繰り返し、総務省への行政訴訟もちらつかせた。孫社長とともに取材に応じた宮川潤一専務は「総務省の担当者とやりとりをする過程で、KDDI側も一〇MHzの申請で来ているのだなと理解した」と主張。総務省から誤った示唆を受けてだまされたと言いたいようだが、かえって「一〇MHzずつ申請する」という事前の談合ともとられかねない密約行為を明かしてしまう始末。孫社長は「KDDIには総務省からの天下りが多く、政策決定に影響している」とまで批判しまくっ・・・