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WORLD

本当はデタラメな米大学教育

学生を借金地獄に陥れる「強欲産業」

2013年10月号

 アメリカの大学教育が米社会を食いつぶしている。米国の大学は国際ランキングで上位を独占しているが、実態は金儲けに走る教育産業であり、近年はその傾向に拍車がかかった。学費をつり上げ、学生をローン地獄に陥れ、借金は政府に肩代わりさせるという、米国型大学経営モデルは、全米のクレジットカード残高より大きな「学生ローン・バブル」を作り上げてしまった。 学生ローン残高は約一兆ドル  シリア化学兵器問題で米政府が大迷走する直前の八月下旬。バラク・オバマ大統領には別の重要使命があった。  八月二十二日、ニューヨーク州バッファローに飛んだ大統領は、七千人の学生を前に、大学改革案を発表した。大統領は改革の一環として、「大学を『就職』の観点からランク付けし、政府支援金の指標にする」と語り、満場の拍手を浴びた。「大学を出たのに、満足な就職ができない」という、不満を反映したものだった。  米国の学生は、大学を投資と見る。学位は高給への階段であり、名門大学やロースクール(法科大学院)、経営大学院の学費も「費用対効果」で選ぶ。  だが、経済低迷の米国では、リターン・・・