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経済

トヨタ「連続世界一」に黄信号

強引な拡張路線が示す「焦り」

2013年10月号


 トヨタ自動車の二年連続自動車販売世界一の座に、「黄信号」が灯っている。二〇一三年上半期(一~六月)の世界新車販売台数でトヨタは約四百九十一万台と首位に立ったことで、早くも「二年連続世界一は確実」との先走った声も聞かれる。だが、足元の円安効果による大幅な利益の積み増しで注目されていないが、ダイハツ工業と日野自動車を含めたグループの同期世界販売実績は、国内や米国の景気回復にもかかわらず前年同期比一・二%「減」にとどまる。

 しかも、二位の米ゼネラル・モーターズ(GM)が同三・九%増の約四百八十五万台、三位の独フォルクスワーゲン(VW)が同五・五%増の約四百七十万台といずれも販売台数を伸ばし、トヨタに肉薄している中での減少なのだ。なぜ「絶好調」のはずのトヨタが世界販売でライバルを引き離せず、逆に追い上げられているのか。

 カギは中国にある。GMとVWの好調の要因は、主に中国市場での伸長にほかならない。一三年上半期の中国新車販売でGMは同一一%増の約百五十七万台と、海外販売シェアの八一・八%を占めた。VW(アウディ、シュコダ、セアトを含・・・