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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》宮内庁書陵部

『昭和天皇実録』執筆の舞台裏

2015年1月号

 皇居の北端、内堀通りに面する北桔橋門から東御苑に入り、旧江戸城本丸跡の巨大な石垣を正面に見て左に折れ約百メートルほどの緑の樹林の奥に、宮内庁楽部庁舎などと隣り合って書陵部庁舎がひっそりと建つ。

 鉄筋コンクリート造り地下一階地上四階建て。正面玄関上の壁にはフクロウのレリーフが施されている。ギリシャ神話の知恵と学問の象徴。旧首相官邸、国会議事堂にも施されているが、皇居ではここ書陵部庁舎の壁に控えめにとまっている。

 庁舎併設の二棟の書庫は建物も書棚も免震構造で、古典籍約三十八万五千五百点、公文書類約八万六千六百点など約四十七万二千点余の文書などを収蔵。鎌倉時代の伏見天皇の宸筆歌集、花園天皇の「花園院宸記(しんき)」など歴代天皇・皇族・公家の直筆文書もあれば、慶応年間に木戸孝允と坂本龍馬が薩長同盟を約した「尺牘」(書簡)、有栖川宮幟仁親王筆の「五箇条御誓文」などもある。皇室の分厚い歴史と知恵の宝庫でもある。


学者の良心と行政官の良心の狭間


 国宝級の貴重史料保存の・・・