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経済

中国「企業倒産ラッシュ」の暗雲

習近平「構造改革」で落ち込む景気

2018年4月号

 昨年秋の中国共産党大会で一強体制を固めた習近平国家主席は三月の全国人民代表大会(全人代)で「終身国家主席」に道を開き、独裁体制に一歩踏み出した。その経済への影響は、日本はもちろん世界にとっても予想外に深刻なものとなるだろう。習主席が経済政策の実質的な司令塔に任じた劉鶴副首相と易綱中国人民銀行長(総裁)はともに構造改革派の学者であり、真っ先に手を付けるのは地方政府と国有企業の過剰債務の削減になるからだ。経済の現場より理論重視の学者が実務トップに立ったことにより、中国では景気の急激な悪化で、企業倒産ラッシュが強く懸念され始めた。

「金融氷河期」の始まり

 劉副首相が世界に名を知られるようになったのは、二〇一三年に党中央財経領導小組弁公室主任に就任し、習主席の名代として経済政策で李克強首相の向こうを張り始めてからだ。そこで生じた政策衝突が最近まで続いた「L字型成長」対「V字型成長」の論争だ。
「L字型」とは中国の高成長時代は終わり、様々な構造問題の解決を優先するならば、今後の成長率は「L字型」のような底・・・