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まるで文革時代再来の中国

毛沢東を模倣する習近平

2013年11月号

 中国で十年ぶりの政権交代が行われた直後の二〇一二年十一月末のある夕方。北京市西部にあるレストランの個室で、十人の知識人が一人の老人を囲み、話を熱心に聞いていた。「これからは粛清が始まる。体制を批判する人の多くは捕まるだろう。君たちも気を付けた方がいい」と老人はゆっくり話した。手にしているのは、最高指導者に選ばれた習近平総書記の就任演説の全文を掲載した共産党の機関紙、「人民日報」だった。  すでに九十代半ばとなったこの老人は、中国共産党総書記だった張聞天の秘書を務めたことがある共産党内の改革派長老だ。政府系シンクタンクである中国社会科学院の日本研究所所長などの要職を歴任した。晩年は回顧録を香港で出版し、一九五九年の廬山会議で張聞天が失脚した直後、自身が上司を裏切って批判を展開したことを懺悔する内容が含まれ、話題となった人物でもある。  老人を囲んでいるのは、改革派メディアといわれる「南方週末」や「新快報」の記者、人権派弁護士らである。ある知識人は「新総書記の演説は確かに保守色が濃いが、事態はそんなに深刻なのか」と聞いた。老人は「死語となっている毛沢東時代の『為人民服務』(人・・・