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連載

続・不養生のすすめ 36

日本人と血圧
柴田 博

2013年12月号


最近、高血圧の基準が引き下げられ、大きな戸惑いを感じている人が多い。血圧の測定は、今では自動血圧計で誰でも測れるので簡単に考える人も多いが、実はコレステロールの問題以上に複雑で、にわかに結論づけられない多くの謎をふくんでいるのである。

 まず、最新の高血圧の基準をみることにしよう。かつては血圧は収縮期血圧一四〇未満で拡張期血圧九〇未満であれば正常とされていた。そして収縮期血圧一六〇以上または拡張期血圧九五以上で高血圧と診断された。その中間、つまり収縮期血圧一四〇~一五九、拡張期血圧九〇~九四は境界域とされていた。しかし、二〇〇〇年、日本高血圧学会は、それまで境界域としてきた収縮期血圧一四〇以上、または拡張期血圧九〇以上を高血圧としてしまったのである。古い基準で高血圧とされていたのは一千六百万人くらいである。新基準により二千百万人が新たに高血圧とされ、合計三千七百万人が高血圧と診断されるに至った。

 最新の日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン(〇九年)では、収縮期血圧一三〇~一三九、拡張期血圧八五~八九の群を正常高値とし、他の危険・・・