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WORLD

「中国脅威」で荒稼ぎの米軍需産業

アジアへ売り込む「対中ミサイル」

2012年11月号

「アジア重視」を打ち出した米政府が、中国の軍備拡張に対抗する切り札として、アジア諸国にミサイル防衛(MD)網を売り込んでいる。対中関係悪化に悩む日本は、これに飛びつき、最先端技術「Xバンドレーダー」の追加配備を受け入れた。中国の脅威を踏まえた米国のアジア戦略は、防衛産業のビジネスプランを支援する構想でもある。

日本は最重要の「上客」

 北朝鮮の金正恩体制が十月、久々に吠えた。同国外務省が「我々が軍事目的の長距離ミサイルを発射しても、韓国や米国には北朝鮮を批判する資格がない」と断じたのである。祖国平和統一委員会も「全面戦争は避けられない」とコメントをした。直前には米韓が、韓国の弾道ミサイル強化で合意したばかり。北の好戦的反応は、これに対するものだった。 「アジアの安全保障は、弾道ミサイルの脅威をどう防ぐかが最大の焦点だ。北朝鮮の姿勢は、我々に改めて対処の必要性を思い起こさせた」と、米防衛産業筋が言う。  米国防総省は「ミサイル問題」に解答を持ち、実行に動いている。最先端ミサイル防衛網「THAAD」(サード=終末高高度防衛ミサイル)である・・・