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政治

日本の女性政治家はなぜ少ないか

衛藤 幹子(法政大学法学部政治学科教授)

2010年6月号公開

 --日本は諸外国にくらべ際立って女性政治家の数が少ないようです。

 衛藤 早くから女性が社会進出している北欧では、女性政治家の割合も高い。スウェーデンでは約半数の国会議員が女性だ。ルワンダや南アフリカ、モザンビークなどアフリカ諸国においても女性議員が四割とか、それ以上を占めている。いわゆる途上国やポスト紛争国では、社会的成熟度が高いわけではないが、女性議員を積極的に登用することが、民主的な国づくりのいわば目玉になっている。
 日本はこのような世界の流れに気が付いていないのか、いつまでたっても、増えないし増やそうという努力もみられない。去年の衆院選で当選した女性議員は過去最多とはいえ、比率ではまだ一一・三%。先進国はおろか、アジア諸国においても最低ランクだ。

 --なぜ外国で女性議員が増えたのでしょう?

 衛藤 既にヨーロッパでは一般的だが、全世界的な傾向として法律や政党の独自策で男女議員の比率を定める制度の導入が盛んである。フランスでは憲法を改正し、比例代表選挙ではおよそ五割の女性議員候補の擁立を義務付けた。また小選挙区選挙では、男女差が二%を超えると政党助成金が減額されてしまう。
 韓国では、比例代表全国選挙区候補の半分は女性と政党法で規定し、女性議員数は倍に増えた。女性の政界進出という面でも、韓国は既に日本を抜き去ったということだ。インドでも、国会下院などの定員の三割を女性に割り当てる憲法改正案がでている。「女性専用席」を用意するという強硬策だが、日本以上に家父長制的な社会でも、国政に女性を参加させようと国を挙げて必死に取り組んでいる。アジア諸国における女性国会議員は平均で一八・七%を占めるまでになった。

 --日本で女性政治家が増えないのはなぜでしょうか。

 衛藤 国政に進むうえで予備軍となる地方議会に女性が少ない。これは諸外国では見られない状況だ。
 我が国の地方議会では、昔ながらの「土着権力」が幅を利かせており、いまだに「女は政治に口を出すな」という雰囲気が根強く残っている。また、せいぜい数人しかいない女性議員は、とかく大事に扱われ、特権的立場を享受してしまう。「超少数派」としての既得権益を守るため、ライバルを増やすようなことはしない。
 有権者も女性議員を増やしてほしいと言わなければならない。実は問題はそこだ。女性議員を増やしてほしいと思っている女性有権者は少ない。ザンビアの友人に「アフリカの女性は女性を応援する。何故日本は応援しないの?」と不思議がられた。

 --女性政治家を増やすために、日本は何をすべきでしょうか。

 衛藤 政党は話題作りのための「マスコット」候補を立てるだけでなく、地方議会で経験を積ませ、国政で通用する女性議員を育てなければならない。また、現職女性議員たちも後輩を育て、増やそうと努力すべきだ。しかしボトムアップを待っていたのでは何十年かかるかわからない。突破口は政治主導でやるしかない。国を代表する女性が少なすぎる現状を放置しておくことは、民主主義の怠慢だ。「政治後進国」日本は、途上国の例に倣って、女性議員や候補者の男女比率を強制的に決めるなどの措置を取るしかないのかもしれない。

〈インタビュアー 編集部〉


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