本に遇う 第308話
口にした言葉の始末
河谷 史夫
2025年8月号
ゆびをつめる 博徒などが、引責・わびなどのために、手の指を切断する。
(日本国語大辞典)
× × ×
映画『仁義なき戦い』で、主人公の菅原文太演ずる広能昌三が賭場で喧嘩沙汰を起こす。親分の金子信雄扮する山守義雄に騒動の責任を問われて、言う。
「わし指詰めますけん、それで話つけてつかあさい」
山守は「ああ、詰めい、詰めいッ。そのほうが銭使うよりもましじゃッ」と吐き捨てる。
「本当に?」と仲間に聞かれて広能は言い切るのである。
「いったん口に出したんじゃけん、やらにゃいけんよ」
洋の東西を問わず、政治家の虚言、大言、失言、妄言が絶えない。しかも言ったことの責任は取らない。最近でも自民党参議院議員の西田昌司が「ひめゆりの塔の展示は歴史の書き換えだ」と妄言を吐き、抗議に遭って謝罪した。だが持論の歴史認識の正当性については主張を変えず、発言は一部を間違えただけだと言い逃れた。
アメリカのトランプは去年の大統領選挙中から「ウクライナ戦争は・・・
(日本国語大辞典)
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映画『仁義なき戦い』で、主人公の菅原文太演ずる広能昌三が賭場で喧嘩沙汰を起こす。親分の金子信雄扮する山守義雄に騒動の責任を問われて、言う。
「わし指詰めますけん、それで話つけてつかあさい」
山守は「ああ、詰めい、詰めいッ。そのほうが銭使うよりもましじゃッ」と吐き捨てる。
「本当に?」と仲間に聞かれて広能は言い切るのである。
「いったん口に出したんじゃけん、やらにゃいけんよ」
洋の東西を問わず、政治家の虚言、大言、失言、妄言が絶えない。しかも言ったことの責任は取らない。最近でも自民党参議院議員の西田昌司が「ひめゆりの塔の展示は歴史の書き換えだ」と妄言を吐き、抗議に遭って謝罪した。だが持論の歴史認識の正当性については主張を変えず、発言は一部を間違えただけだと言い逃れた。
アメリカのトランプは去年の大統領選挙中から「ウクライナ戦争は・・・