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経済

今治造船「中韓追撃」は絶望的

虚しき「日本トップ」の実情

2025年8月号

「これで名実ともに日本の造船業の『顔』に躍り出た」。今治造船(愛媛県今治市)の関係者の一人がこう感慨を込める。
 戦国時代に瀬戸内海を支配した村上水軍・来島家の家臣団がルーツともいわれる同社。2000年代初頭から船舶建造量では国内首位に立ちながら、三菱重工業やⅠHI、川崎重工業など名門の大手重工系メーカーからは「海賊の末裔」「所詮は船大工」などと揶揄されてきた。
 それが今年6月、様変わりした。今治造船の創業家出身で現社長の檜垣幸人氏が同19日、日本造船工業会の会長に就任。さらにその1週間後の同26日には業界2位、ジャパンマリンユナイテッド(JMU、横浜市)の子会社化を発表したのだ。
 造船工業会の会長ポストは歴代大手重工系の指定席。今治造船の「グループ社主」で、オーナーの俊幸氏が1995年から一時期、副会長を務めたことはあるが、造船専業からの起用は初めて。前任会長も川崎重工業会長の金花芳則氏だ。工業会会長就任はその金花氏からの「直接の要請だった」(事情通)とされる。昨年末の同工業会の理事会で内定していたとはいえ、今治関係者らからすれば「何となく溜飲が下が・・・

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